不動産の譲渡所得税
不動産を購入すると同時に、住んでいる不動産を売却すると、税金がかかる場合があることはご存知でしょうか?
こちらでは、不動産を売却した場合にかかる譲渡所得税に関する説明をします。
譲渡所得税はどんな場合にかかるか?
不動産を売却した際に、どんな場合に譲渡所得税がかかるかですが、譲渡所得が生じた時です。では、譲渡所得が生じた時とはどのような場合をさすかですが、次の計算式によってプラスのときは譲渡所得が発生していると考えます。
総収入金額-(取得費+譲渡費用)
総収入金額とは?
総収入金額とは、通常は譲渡価額のことです。つまり、不動産を売却した場合には、売却代金のことを指します。例えば、5000万円で現在住んでいる不動産を売却した場合には、総収入金額は5000万円となります。
なお、固定資産税等の精算金も総収入金額に加えることができます。
取得費とは?
取得費は、次の計算式によって求めます。
なお、購入したときの代金が不明であったり、実際の取得費が少額の場合には、総収入金額の5%(概算取得費)とすることができます。
譲渡した資産の取得に要した金額+その後の設備費・改良費-減価償却費
譲渡した資産の取得に要した金額とは?
不動産購入時の購入代金がまず当てはまります。
その他にも、次のようなものが該当します。
1 不動産購入時の仲介手数料
2 不動産購入時の契約書の印紙代
3 取得時の不動産登記費用
4 不動産取得税
5 不動産購入時に支払った立退料
6 不動産購入後1年以内に取り壊した建物の取壊費用
7 使用開始前の借入金の支払利息
その後の設備費・改良費とは?
土地の埋め立て、地ならし、切土等の土地造成費用や上・下水道の設置費用、建物の増改築費用のことです。
減価償却費とは?
減価償却費は建物に関して計算が必要となります。
このホームページでは、非業務用不動産を前提に説明します。
減価償却費は次の算式となります。
建物の取得金額×0.9×償却率×経過年数
居住用不動産の償却率
構造 | 木造 | (鉄骨)鉄筋コンクリート造 |
償却率 | 0.031 | 0.015 |
※ 経過年数6か月以上の端数は1年、6か月未満の端数は切り捨てとします。
取得費を計算してみよう!
具体例1
平成9年4月1日に5000万円にて取得した居住用の木造建物を平成25年9月1日に譲渡した場合、譲渡所得金額を計算する際の取得費はいくらになるか?
減価償却費
5000万円×0.9×0.031×16年=2232万円
取得費
5000万円-2232万円=2768万円
譲渡費用とは?
不動産を譲渡するときにかかる費用のことです。
次のようなものが譲渡費用に該当します。
1 不動産売却時の仲介手数料
2 不動産売却時の契約書の印紙代
3 譲渡時の不動産登記費用
4 不動産売却に伴い行った測量費・不動産鑑定料
5 譲渡のために支払った立退料
6 土地売却のために取り壊した建物の取壊費用
居住用不動産の特別控除
譲渡する不動産が自己が居住する不動産(建物及びその底地である土地を含む)の場合には、所有者一人につき3000万円まで譲渡所得金額から特別控除することができます。つまり、次のような算式となります。
総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除(居住用不動産は3000万円)
上記の算式により譲渡所得がマイナスとなった場合には、譲渡所得税はかかりません。ただし、特別控除を利用する場合には、税務署への申告が必要となります。
譲渡所得税の計算
上記のとおり計算することにより、譲渡所得が発生することになった場合には、一定の税率を基準に譲渡所得税を計算します。
税率に関しては、原則として長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられます。
長期と短期の区分は次のとおりです。
長期所有 譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が5年超
短期所有 譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が5年以内
また、長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は次のとおりです。
譲渡所得の種類 | 所得税 | 住民税 |
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
譲渡所得税の計算をしてみよう!
具体例2
平成9年4月1日に土地を売買代金5000万円にて取得し、その他取得時の仲介手数料・登記費用は200万円かかりました。その後、平成25年9月に6000万円にてその土地を売却しました。譲渡費用は、250万円でした。この場合の譲渡所得税はいくらになりますか?
6000万円-(5200万円+250万円)=550万円
所得税 550万円×15%=82万5000円
住民税 550万円× 5%=27万5000円
まとめ
譲渡所得税の計算の基本は以上のとおりです。
譲渡所得税の計算をする上で注意が必要なのは、不動産購入時よりも売却時の方が安かった場合でも、建物の減価償却費の関係で譲渡所得税が課税される恐れがあることです。
不動産を売却する場合には、一度どれくらいの譲渡所得税がかかるかあるいはかかる可能性があるかを考えるべきです。