不動産登記ってどんなもの?

不動産登記とは、法務局(登記所)に備えられた不動産登記簿に、登記官が不動産の物理的概要(所在地、面積、構造、種類等)や、所有権その他の物権(賃借権も)の権利変動を登録して、公示することです。

 

物権は非常に強い権利であるので、不動産については物権の存在が公示されていないと、第三者に不測の損害を与え、取引の安全を害することにもなりかねないので、民法において、不動産は登記をもって公示方法とされています。
ちなみに、動産は引渡しをもって原則として公示方法とされています。

 

不動産登記の効力

不動産登記の効力では、「推定力」「確定力」「対抗力」「公信力」があるかどうかが問題となります。

不動産登記の推定力

不動産登記の推定力とは、登記された事項は、実体的権利関係において、一応真実であることが推定される力のことです。

 

例えば、不動産登記簿にAが所有者であると記載があれば、特段の反証がない限りはAが所有者であることが推定されます。もしBが所有者であることを主張するためには、Bが自身が所有者であることを立証する必要があります。

不動産登記の確定力

不動産登記の確定力とは、ある登記が存在する以上、その有効・無効にかかわらず、その登記を抹消するなどの手続きを行わなければ、その登記と矛盾する登記はできない効力のことです。

 

例えば、甲不動産の不動産登記簿にAが所有者として記載されてる場合に、Bが自身が甲不動産の真実の所有者であることを登記簿に記載してもらうには、Aの所有権を抹消するなどしない限り、甲不動産に関してBを所有者として登記することはできません。

不動産登記の対抗力

不動産登記の対抗力とは、登記がなければ、所有権の移転や抵当権の設定などの権利変動を第三者に対抗することができないという効力のことです。

 

例えば、甲不動産に関してAが所有者として登記されている場合に、AがBに対して売買を原因として所有権を移転したがBは所有権移転登記を申請しなかった。その後、AがさらにCに対して甲不動産を売買を原因として所有権を移転し、Cは所有権移転登記を申請し、甲不動産の新所有者として登記された。
この事例の場合には、BがAから先に所有権の移転を受けているが、登記上の所有権の名義人はCとなっており、Bは登記の名義がないので、自身の所有権を第三者であるCに対して主張することができなくなってしまいます。
これが、不動産登記の対抗力です。

不動産登記の公信力

不動産登記の公信力とは、登記事項を信頼して権利者として登記されている者と取引した者は保護されるという効力です。
現在、日本の不動産登記ではこの公信力は否定されております。

 

例えば、Aが甲不動産に関して登記簿に所有者として登記されていたが、実は真実の所有者はBであった場合、Aを所有者であると信じて取引したCは保護されると考えるのが、不動産登記の公信力です。
しかし、日本の不動産登記では公信力が認められていないので、Cは保護されません。

不動産登記の種類

不動産登記には大きく次のような種類に分けられます。

表示登記

表示登記とは、表題部に登記される土地・建物の物理的概要を記録するものです。
土地に関しては、所在・地番・地目・地積等で、建物に関しては、所在地・家屋番号・建物の種類・構造・床面積等のことです。
表示登記も変更が生じた場合には、登記が必要となります。

権利登記

権利登記とは、権利部の甲区と乙区に分かれて登記されます。
甲区には、所有権に関する登記事項が記載され、乙区には所有権以外の権利(例えば、抵当権・地上権・賃借権・質権等)が登記されます。

仮登記

仮登記は、本登記に先だって行われる予備的な登記です。
したがって、対抗力はありません。
しかし、仮登記を行うことにより登記の順位を確保することができるので、後日本登記を行うことにより、仮登記と矛盾する登記は効力を否定されます。

仮登記は、次のような場合に登記されます。

 

① 登記原因となる物権変動はすでに実体法上生じているが、登記申請に必要な手続き上の条件を満たすことができない場合

 

② 物権変動がいまだ発生しておらず、物権変動を目的とする請求権を保全する場合

 

③ 登記すべき物権変動が条件又は期限が付されている場合

本登記

仮登記に対して、本登記という呼び方をされています。
基本的に権利に関する登記は仮登記以外は本登記です。

不動産登記簿を見てみよう!

実際の不動産登記簿(見本)を見てみましょう!

 

登記簿例

この不動産登記簿(見本)から分かる権利関係は、所有者は山田太郎さんと山田花子さんが持分2分の1ずつで共有していることです。
以前は、抵当権がついていたようですが、現在は抹消されているので、所有権以外の権利はついていないようです。

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